概要
2007年に登場以来、進化と熟成を重ねてきたR35 GT-R。2019年に登場した最新の2020モデルはNISMOの改良がメインだ。
エンジンは600ps/652Nmのスペックに変更はないものの、過給立ち上がりのレスポンスを高めた新型タービン(羽の枚数の変更(11→10)と形状を変更)。それに合わせてエンジンのマッチングも再チューニング。6速DCTもエンジン変更に合わせて制御を変更。特にRモードのシフトスケジュールはDレンジでもドライバーの意志に見合ったシフトスケジュール組み込まれている。
一方、車体側はルーフ、エンジンフード、フロントフェンダーをカーボン製に変更。軽量化(-10.5kg)はもちろんボディ剛性アップにも大きく寄与している。シャシーはコーナリング性能を引き上げるべく、グリップと接地面積を向上させた新タイヤと従来品よりも軽量かつ高剛性な9本スポークアルミ、R35 GT-R史上最大の大径ディスクに専用の高剛性キャリパーの組み合わせのカーボンセラミックブレーキを採用。これらの変更に合わせてダンパーセットも見直しが行なわれ、これらの進化でコーナリングフォースは5%向上。
更にドライバーとクルマの接点となるシートにも手が入っており、シートは同じレカロ製カーボンバケットながらも、骨格や形状を新設計。従来品よりもねじれ剛性20%アップと約2.8kg/台の軽量化を実現している。
田村氏は「クルマはトータルバランスが重要なので、当然だと思っています」とサラッと語るが、その変更規模はフルモデルチェンジに匹敵するレベルと言っていいだろう。
その速さは筑波サーキット2000で松田次男選手が量産車最速タイムとなる59秒361を記録しながらも、その性能を誰でも楽に安心して引き出せる懐の深さを備えた。まさにR35が登場時から目指してきた「トータルパフォーマンス」の完成形と言ってもいい。
自動車研究家 山本シンヤ
■ レジンモデル
■ 開閉機構ナシ