概要
1960年代末から相次いで登場したスーパーカーの中で、最も神格化されたクルマといえば、ランボルギーニのテストドライバー兼エンジニアのボブ・ウォレスがミウラのマイナーチェンジ先行開発車として製作した「イオタ(社内ではJと呼ばれる)」がその筆頭。1970年にFIAレース規定に沿ってワンオフされ、エンジンは400㎰以上を発揮するドライサンプ仕様を搭載。ワイドボディ化と徹底的な軽量を進めた結果、リベットパネルや固定式ヘッドライト等、オリジナルのミウラとは異なる装いを纏うスペシャル仕様でした。数万㎞のテスト終了後は一般に売却されましたが、1971年に修復不可能な大事故を起こして残念ながら廃車となっています。ただ、イオタの存在を知るファンから「同様の仕様にしたい」という熱い要望は止まることなく、ランボルギーニ本社でのボディ改造を含めて、これまで10数台以上のレプリカが誕生しています。その内の1台が、現在も日本で所有されている「ミウラSVR」で、オリジナルのイオタを上回るワイドボディと後付けのルーフウイング等が特徴。日本へ輸入されたのはスーパーカーブームど真ん中の1976年で、漫画「サーキットの狼」の車両モデルになった他、全国のカーショーや自動車媒体に登場するなど、その存在が広く知られることとなりました。現在はランボルギーニのヘリテージ部門「ポロストリコ」で、1年半に及ぶレストア&モディファイが施され素晴らしいコンディションで動態保存されています。