マイカート
カートの中には何もありません。
1970年代、ランチアというメーカーの存在を日本に知らしめたモデルが「ストラトス」。漫画「サーキットの狼」の主役が乗るグループ5マシンとして描かれたため、当時の日本ではレース仕様のイメージが強かったのですが、元々は世界最高峰のWRC(世界ラリー選手権)を制覇するために誕生した世界初のパーパスビルドマシン(目的を達するために特化したクルマ)で、実際に1974年~1976年までメーカータイトル3連覇を成し遂げています。車体はモノコックのキャビンと前後パイプフレームで構成。また、コーナーリング性能向上にウェイトが置かれたため、1,430㎜/1,460㎜のトレッド(全幅は1,750㎜)に対して、ホイールベースは当時の軽自動車よりも短い2,180㎜。この極端なディメンションは高い回答性だけでなく、ボディ剛性の確保にも役立っています。エンジンは同じフィアットグループのフェラーリからディーノ246GT用2.4ℓV6エンジンの供給を受けるとともに、ラリーでの使用を考慮し、低中速重視にリセッティング。市販車のスペックは190㎰/23kg-mでしたが、WRCでは240㎰まで引き上げられていました。ウェッジシェイプの強い塊感あるデザインを描いたのはカウンタックも手掛けたマルチェロ・ガンティーニで、強靭なボディはジャンパオラ・ダラーラが担当。ランボルギーニミウラで共同作業の経験があった2人が開発のキーパーソンとなり、世界を代表するラリー界の傑作が生まれたのでした。
■ 開閉機構付