概要
日産自動車とプリンス自動車工業が合併後に初めて登場したスカイラインが3代目(通称:ハコスカ)である。開発はプリンス時代から行なわれているが、日産の基本コンポーネントを上手に流用しながらも、スカイラインの名に恥じない走りのために“要”となる部分は専用設計されていた。
このクルマに純レーシングカー「R380」に搭載するレーシングエンジン(GR8)を公道走行用にデ・チューンした「S20型」を搭載したスポーツバージョンが「GT-R」である。ちなみに1969年2月の正式発売前となる1968年に東京モーターショーで参考出品されていたが、この時点ではGT-Rとは呼ばれておらず、「スカイライン2000GT“R380エンジン搭載車”」と記されていた。
やはり注目はエンジンで、当時の市販エンジンとしては珍しい4バルブのDOHCを採用、レース直系のエンジンだけあり明らかにオーバークオリティと言われる構造・部品が数多く採用されていた。160ps/18.0kgmのスペックは当時最強で、最高速200km/h、0-400m(ゼロヨン)は16秒1を誇った。ちなみにエンジン単体での価格は約70万円と車両本体価格の約半分がエンジン代だったそうだ。高性能エンジンの搭載に合わせてサスペンションはスプリング、ダンパー、スタビライザーなどを強化していたが、タイヤ(何とバイアス!?)を含めて交換前提だったようで、競技用のスポーツオプションが豊富にライナップされていた。
外観はワイドタイヤを履くために自慢のサーフィンラインはカット、ウィンドウは無色透明、曇り取りのリアデフォッガーも未装着、モールやホイールキャップの装飾もなし。内装はラジオ、ヒーター、時計、シガーライターなどの快適装備は全てオプション、シートはリクライニング機構無し、助手席ヘッドレスト/助手席シートベルトがオプションと、運転する以外の装備は一切ない「潔さ」も特徴の一つだった。
セダンの発売期間は短いが途中でマイナーチェンジが行なわれおり、初期モデルに対してフロントグリルの形状(3ピース→1ピース)やフェンダーミラーの色(シルバー→黒)、ステアリング素材(ウッド→本革)と言った細かい違いが存在する。今回のモデルは1970年式なのでマイナーチェンジ後のモデルだ。
ツーリングカーレースでの50勝の記録は有名な話だが、セダンは後に登場する2ドアハードトップよりも多い36勝を挙げている。
自動車研究家 山本シンヤ
■ レジンモデル
■ 開閉機構ナシ