概要
「サーキット走行を難なくこなし、かつ不快な思いをせずに自走で往復できる」をコンセプトにNISMO(現・日産モータースポーツ&カスタマイズ・NISMO事業所)が手掛ける「CRS(クラブマン・レース・スペック)」。最初に製作されたR34 GT-Rはややサーキットにウエイトが置かれた仕様でしたが、2014年に着手となった2台目のR32 GT-Rはグランドツーリングと銘打ち、低中速のトルクとアクセルレスポンスを重視したS2エンジン、ゴムマウントを採用したサスペンションなど、ややストリート重視のマシンメイクが施されました。これはR32が登場から25年が経過していた事も大きく影響していたでしょう。現代基準でR32を改めて検証した場合、どのような仕様がベストなのかを模索、オーナーのニーズも加味した上でGT路線が選ばれたのでしょう。また、R32 CRSの開発における新たな試みは日産自動車の施設を使用し、ボディのねじれ剛性と寸法測定。劣化を可視化したことです。これは、その後のNISMO restored carプロジェクトに活かされました。その結果に基づき、バランスを取りながらボディを修復した上で、R35 GT-Rのダークメタルグレーに全塗装されています。ストリート重視のクルマ作りとして新たに盛り込まれたのがフロアの吸音・消音シート、リアシート後ろの開口部を塞ぐカーボンアルミハニカムです。静粛性が高く、快適に速く走れるのは現代のGTカーに求められる性能の一つ。とくに後者は消音効果だけでなく、見た目を損なわずに車体剛性アップができると高い人気を誇りました。