概要
1972年のWRC(世界ラリー選手権)発足から参戦してきたトヨタがフル参戦を開始したのは‛88年。それまでの限定的な参戦からの方向転換は、欧州における知名度向上、販売拡大にはWRCで勝つことが効果的という判断によるものでした。世界制覇のために選ばれたマシンが、トヨタ初の本格4WDスポーツであるセリカGT-FOUR(ST165)です。駆動方式をFRからFF(ベース車)に変更しただけでなく、スタイリングもウェッジシェイプの強かった先代からガラリと変更。流面形と呼ばれる柔らかくすっきりしたスタイリングは新時代の到来を感じさせました。参戦初年度こそ苦戦しましたが、豊富な資金力を武器にスピーディに熟成され、参戦2年目に初勝利。翌‛90年には4勝を挙げてC・サインツ/L・モヤ組が無敵と呼ばれたランチア・デルタの牙城を崩し、日本車初のWRCタイトルを獲得しています。今回は‛90年、‛91年シーズンの初勝利車である2台をモデル化。ターマック&グラベル仕様の違いも見所のひとつです。
エンジンはセリカで初採用された3S-GTE型2ℓ直列4気筒ターボ。市販車は185㎰/24.5kg-mだが、Gr.AのWRC仕様では295㎰/38.0kg-m(1990年仕様)までパフォーマンスアップ。ストラットタワーバー上の三角形状のブロックは補強プレート。
ダッシュボードはしっかりエッジを効かせており、シャープな印象。本物の雰囲気を追求するためシボまで吟味。メーター類は水転写デカール(一部タンポ印刷)を駆使して再現。
3D CAD化の進化で、より精密さを増した各部のディテール。ドア内側の成型も実車により近づいた。さらに各部のクリアランスもギリギリまで詰めることができるようになり、開閉モデルながら、正確なチリ合わせが可能に!
ラリーカー(モータースポーツ車両も含む)の特徴であるロールケージは金型の抜き方が難しく、試行錯誤した部分。シートベルトは金型でも製作可能だが、厚みが出てしまうため本物に近しいシート素材を使用している。
フルバケットシート裏側のカーボンケブラー模様は写真を見ながら書き起こされる。そのままスケールダウンすると模様が潰れてしまうので、違和感がなくバランスのいいスケールで製作。各部の造形もメリハリが効いている。
スピードレンジの高いターマックで戦うモンテカルロ仕様のフロントタイヤには、1980年代後半~‛90年代前半まで多くのレーシングカーで採用していた空力向上のためのフィンホイールを装着。時代を感じさせるアイテムだ。